風景喫茶

備忘録(風景喫茶より)

2008-10-14から1日間の記事一覧

雨灯篭 参

日野さんが再び姿を現し始めたのは、梅の花の匂う頃です。その日は隣家の白梅紅梅が、霙混じりの重たい雨の中に淡い香りを沈みこめ、綻びかけの沈丁花は息を潜めるかのようでした。雨灯篭にはいつものように母の手で火がともされ、揺れるような光がちらちら…