風景喫茶

備忘録(風景喫茶より)

2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧

小景

-浜辺- 白硝子で出来た浜の薔薇。ひとつひとつ踏みながら歩くと、日傘が一つ開いた。 白麻で出来た素っ気ない日傘は、水母のように蜃気楼の中を泳いでいる。右に左に、波打ち際を彷徨っている。 日傘の下の顔は、先年死んだHであった。 さくさくと鳴く砂の上…

小景

-プールサイド- 夏の午後三時。仰向けにプールに浮かぶと太陽が肌を刺す。 輝く花粉のような日の光をふんだんに浴びながら、プールサイドに腰下したキュクロプスが真珠のような少女を見下ろしている。 逆光は一つ眼に青い翳を落し、愁いを含んだその青は深い…