風景喫茶

備忘録(風景喫茶より)

2010-07-01から1ヶ月間の記事一覧

昨日の夢「沸騰する青」

砂浜に座る私は透明のパラソルの中にいて、空からは大粒の雨がこれでもか、というくらいに落ちてくる。 これは土砂降りというの。 透明のパラソル越しに見上げる空には雲はなく、まるで沸騰した青蒼藍碧、そこに黒を一点落として完璧なまでに不穏。 海は空の…

一粒の海

ホログラムの海は映像に過ぎないから、どこまでも潜ることが可能だ。波打ち際から浅瀬、段々と深まる海の青。触れることの出来ない海。泳ぐこともできない。海底に座って水面を見上げると記憶と記録に作られた水面が、太陽光がきらきらと無数の銀色の輪のよ…

Quetzalcoatlus

アオとミドリは美しい化石を見つけた。 それは空に残された翼竜の完璧な化石。 痕跡に最初に気がついたのはアオだった。アオは目がいい。勘も鋭い。音も反射的に捉える。 「あれはどうやら翼竜の翼の音みたいだ」 そう言って空を見上げる。ミドリは眼球にオ…

七月朔日 snail

べたりと重たく分厚い何かが皮膚をまんべんなく覆っているような不快感に目を覚ます。首の辺りがべたべたと汗をかいて冷たくなっている。寝巻き代わりのTシャツも、背中にぴとぴと張り付いて気持ちが悪い。シャワーを浴びに、階下におりた。時計はまだ六時を…

三日の夢「ファッショに気をつけろ」

保育園の慰労会(現実にはそんなものはない)で居酒屋に行く。 がやがやと賑わしい店内に一人、わたしの丁度斜め右前に座る中年の男はくたびれた風でネクタイはまがっているし、スーツもよれよれで陰鬱な表情をしている。銀フレームの眼鏡はご丁寧に斜めにず…