風景喫茶

備忘録(風景喫茶より)

2012-10-01から1ヶ月間の記事一覧

銀杏と金木犀 弐

金木犀から銀杏へ 銀杏さん、先日お話いたしました朝顔の女、あの解語之花が私の姿をみとめたようです。この頃など咲きこぼれるような笑みを浮かべて、煮干しなど小皿にのせて手招きしたりもするのです。あの美しい女人は猫が好きと見えます。しかしここでそ…

銀杏と金木犀 弌

金木犀から銀杏へ 蜻蛉の羽みたいな、薄青い朝です。 まだまだ空のてっぺんには溶け残った砂糖みたいに夜が残っていて、切り損ねた大根みたいなお月様がからだの向こう側を透かせて浮いています。そろそろ玉子の黄身みたいなお日さんが山のふちからあらわれ…

桐に鳳凰

日差しは柔らかな鶏卵の色になり、風が軽くなって、桐の花が咲いた。 子どもの頃、花札の桐は「霧」だと思っていた。どうしてこの絵柄で霧という名前なんだろうと思っていたのだった。庭のない家で育ったから、資子は樹木の名前に疎い。流れる霧は知っていて…