風景喫茶

備忘録(風景喫茶より)

2008-09-01から1ヶ月間の記事一覧

雨灯篭 弐

青年の名は日野といいます。父は専門学校の美術教師を勤めていて、彼はそこの学生でした。父は西洋画専攻で、日野さんは日本画でしたけれど、お互い年齢も領域も超えて響くものがあったらしく、出会って一年程はよく家にもいらしって、応接間で二人、葡萄酒…

雨灯篭 弌

雨が降るといつもあの方は、傘もささずに紫陽花の株を、無造作に掻き分け掻き分け、勝手口へと回ってくるのです。 両手にぶら下げているのは、お酒の入った薄青い一升瓶と、とろりとした醤油が入った一升瓶であったり、艶々と濡れたように光る季節ごとの旬の…