風景喫茶

備忘録(風景喫茶より)

2303271829 13℃ 曇り

卒園も卒業も終わり、入学式前に髪を切る人。 重なるということがこんなに大変だとは。 ------------------ あまりにも身の回りがあたふたと忙しすぎて、今回は一句も浮かばないのではないかとギリギリまで不安でした。 それでもなんとか調えられた。本当に…

20221110 夜更けの夢

明るく広々とした森にいる。樹々の輪郭は淡く、遥か空を突き刺すように聳え立ち、上の方の枝葉はもはや霞んで見えない。 炎の色や金糸雀色や唐紅に金色。きらきらと落葉が一定の速度でゆっくりと落ち続ける。足元には薄く透けて硝子のような落葉が降り積もる…

月と無花果 四

以前娘に言われたことがある。 「死ぬ時に一人ってのは寂しいのかもしれないけれど、その寂しさを回避するためだけに何十年も我慢したくないんだよね」 辛辣な言葉ではあったけれど、当時離婚したての娘に反論する言葉は浮かぶ訳もなく、まあそうねえ、とお…

202209281632 23℃ 曇り

さて、秋だ。 暑い、だるい、もう嫌だ、と言いながらも「終わった」となると少しばかり寂しいのは私がいい加減な人間だからだ。 ---------------- 持病と季節性アレルギー、そしておそらくはプレ更年期というもののためにここ数週間、 「私は元気だ!」 とい…

202207022116 28℃ 曇り

ディプティックのサン・ジェルマン。数年置いてから馴染む香りってある。 ここのはトワレとパルファムが光と影のようで収集欲をそそられて困る。 香りはいくつあってもそれぞれ物語があるので、本同様に尽きない。 --------------------- 河原枇杷男はどうや…

202205290623 明け方の夢

真っ白な日盛りの中を友人Bと歩いている。漫画の中の真夏のページのように、世界の余白という余白が白く眩しく、輪郭は細く途切れそうに薄い。陽を遮るもののない長い一本道を歩いている。砂を踏むじゃりじゃりという音が二人分。遠く蝉の声が数千匹。陽の光…

202202131110 4℃ 雨

雨は一粒一粒ものがたる、とは山村暮鳥。 まさにその通りだと雨の日に窓際でぼんやりしているとしみじみ思う。 雨音は一粒一粒記憶の音だ。 ーーーーーーーーーー あんまり体が冷えるので、スープが飲みたくなった。 鍋に油をひいて、ニンニクと鷹の爪。 く…

月と無花果 参

隣の庭の山茶花が綺麗に色づいている。年間通して芝はいつでも綺麗に刈りそろえられ、花壇は春夏秋冬季節の花が絶えないように植えられている。丁寧に作られた箱庭みたいなきちんとした庭だ。温子は二階のベランダで洗濯物を干しながらお隣の庭を眺めるのが…

202112211941 9℃晴れ

あっという間に師走も終わりに近づいて。驚いてしまう。 春号の投句、今回はどうにもこうにも浮かばなくて、 本当に締め切り日ギリギリになってしまった。 忙しくても、浮かばなくても 「続けることが大切です」 という先生の言葉を杖に進んでいく。 ーーー…

202111211721 13℃ 小雨

今日は朝から薄曇り。鳥はこの時間もピイピイキィキィ鳴いている。 午前中に公園でひとしきり遊ぶ。 紅葉している木々と常緑樹が曇り空の下で淡く重なって安野光雅の絵のようになっている。 鴨が微動だにしない。捕まえられそう。 母が40年以上前に編んだセ…

月と無花果 弍

最寄りの駅から徒歩7分。築年数が修子とそう変わりない緑山レジデンスは全ての部屋に嵌められている型板硝子の明かり取りと玄関のヴィンテージめいたカットガラスのランプシェードが気に入って即決した。元夫と暮らしていたのはもう七年も前になるので、人気…

202111111119 19℃ 晴

編む日々となっている。もちろん仕事と家事育児の合間にだけれど。(だからなかなか進まないのだが) プレゼントいただいたseeknitの輪針が使いやす過ぎて、編む手が止まらない。 編み物はセラピー効果もあるので仕事のストレス解消にも良い(と思っている)…

202110212149 16℃ 曇り

夏の終わりも秋の始まりもなく唐突に冬、のような昨日よりかは秋の涼やかな匂いがした。 夏が終わるとテープで流してるんだろうかというくらいに鳥の声が聴こえてくる。 ピンクちゃんは朝登園する時寒くて 「あしがぷるぷるしちゃう」らしい。 今朝はフリー…

202110182015 13℃ やや曇り

寄り道もせぬ枝の端にカシオペヤ------------------------------ 久しぶりの出勤だった。 よくもまあ二十年近くも毎朝電車に乗って一時間以上かけて目的地に向かい、そこからまた夜には同じ経路を辿って帰る、ということをきちんと繰り返していたもんだ。 や…

月と無花果 弌

消し炭色の薄い雲の裏には貝釦のような薄い月が控えている。あのジョーゼットのような極薄い雲を風がそうっと動かせば、皓々と光る満月が出てくる。修子はいつも見惚れてしまう。ビルから吐き出された人たちは、川の流れのように淀みなく修子の傍をすいすい…

202109142101 22℃ 小雨

まなうらの祖母の手白し秋霖雨 ------------------------- pinkちゃんはPCR検査受けることなく、 9割がたお腹の風邪、ということで着地。 まあ良かった。 ここのところ朝雨戸を開けると金木犀の香りがふわりとするようになった。 流れる水のような秋が来た。…

202109062100 20℃ 曇り

早鐘の小さき鼓動風邪つぴき ------------- 保育園から帰ってきて元気に部屋を走り回る子供を捕まえたらおでこがかんかんの発熱林檎。 熱が出た子供は小動物のような早い鼓動で不安になる。 今までならばたかが熱、だったのになあ。 明日は小児科行ってPCR検…

202108271758 32℃ 薄く雲

子の肌の香に包まれて月涼し ------------- 蜩鳴いている。 残業しながら部屋の中がだんだんに灰色のベールが重なるように薄暗くなってくるのは好きだ。 手元が見えづらくなってきたら雨戸閉めて電気点ける。でもぎりぎりまで点けない。 このなんだか水の中…

202108232104 27℃ 月に雲

電線に雫となりて夏の月 ------------- 土曜にPCR検査をして、翌日陰性とわかり安堵する(midori)。 しかしもういつどこでもらったとしてもおかしくないよなあ。 向かいの竹藪に黒揚羽。あれはうっかり迷い込んだんじゃなかろうか。緑色の中でもがいている…

202108201551 31℃ 晴

叩ひたら音がしそうね夏の天 ------------- 一昨日から日付が一日ずれたまま暮らしていた。 今日の8:06まで私は今日は21日だと思っていたのだった。(19日誕生日の友人に18日にメッセージまで送っていた) 空はまるで「わたし地球なんですよー、ほらほら、ど…

202108182048 26℃ 月夜

夏の夜の羊羹に似た雲の色 ※ふう秋号 ------------- 一番重たい水曜が終わった。 (疲れる定例mtgが2本ある。毎週訪れる軽めな地獄) 屈託を引き摺って夕飯が宅配ケンタッキーになった。(ただの言い訳だ) 子供は喜ぶ。私の胃は喜ばない。43歳の胃腸はもう…

202108171509 24℃ 曇時々雨

ペトリコールの香りに満ちて白雨 ※ふう夏号(予定) 母が「行ってきまーす」と出た途端スコールのような土砂降り。 すぐに上がった。虹は出ていない。残念。 引きこもって仕事をしていても蝉の大音声で雨が上がったことがわかる。 新しい家を建てているのを…

202108151516 雨 19℃

露草へ降り来る雨の柱かな ※ふう春no.15 ***** パンテオンの柱みたいな雨だなあ。 巨人がバケツをどんどんひっくり返してるみたいだ。 雨の日はもれなく頭痛を伴うので憂鬱だ。子供もどこにも行けず屈託ありげだ。 midoriは隣駅までたこ焼きとポテトなんてジ…

ピンクちゃんはこんな子

これは2、3歳の頃のピンクちゃん。今は4歳。 チビグリーン(すでに私の背を5cm程度ではあるが追い越したので今後はミドリくんとでも呼ぼうか)の9歳下の妹(月齢にしたら10歳近く離れてる)。 甘ったれで頑固で兄に対してめっぽう強気。ジャイアンみた…

風景喫茶の引越しは

記事の多さ(容量の重さ)に辟易し、取り急ぎ夜の匣(夢記録)、記憶の筺(思い出)、お伽草子(おはなし)だけ持ってきた。 (夜逃げみたい) 小さく静かにゆるゆると。

紫陽花、トマト、教室

小学校の花壇には金盞花と名前をしらない小さな紫色の五弁の花がみっしりと植わっていて、その奥には子どもたちが理科の授業で育てているのであろう朝顔とミニトマトの鉢が綺麗に並んでいる。朝顔の水に落としたような淡い青。トマトのペリドットみたいな黄…

Lucy in the Sky with Diamonds

7/31 明け方私は地図の上を飛べるので、地図に描かれた海の上を鴎のように飛び、遥々カナダまでやって来た。巨大な紙製の山脈が聳え立ち、その頂上には山脈の名前がゴシック体で浮かんでいる。等高線が美しい。遠く前方にレゴで作られたようなこれまた巨大な…

ハンサムなダニエル

夜色の窓硝子が嵌った大きな窓のある浴室にいる。窓硝子の向こうは夜空だが、窓を開けると朝の景色。タイル貼りの浴槽に湯は張っておらず、それでも湯気が立ち込める。W家の浴室に似ているけれどその5、6倍広い。銭湯みたいだ。真ん中に置かれたテーブルで珈…

銀杏と金木犀 弐

金木犀から銀杏へ 銀杏さん、先日お話いたしました朝顔の女、あの解語之花が私の姿をみとめたようです。この頃など咲きこぼれるような笑みを浮かべて、煮干しなど小皿にのせて手招きしたりもするのです。あの美しい女人は猫が好きと見えます。しかしここでそ…

銀杏と金木犀 弌

金木犀から銀杏へ 蜻蛉の羽みたいな、薄青い朝です。 まだまだ空のてっぺんには溶け残った砂糖みたいに夜が残っていて、切り損ねた大根みたいなお月様がからだの向こう側を透かせて浮いています。そろそろ玉子の黄身みたいなお日さんが山のふちからあらわれ…