昨日の夢「Coca-ColaPanic」
コカ・コーラ工場にピクニックに来ている。
空に浮かぶ入道雲と太陽の光は完璧な夏だ。
工場と言っても建物はない。遥々と草原と丘陵が広がっている。
ピクニックに来た人たちはみな芝生に寝転び、空を眺めている。
その頭上には巨大なロケット型のコカ・コーラ製造機が、二台、遊園地にあるバイキングのような形に並んで固定され、大きく振り子のようにゆっくりと揺られている。
ロケットは赤と白。地上から50mほどの場所でぐらーりぐらーりと単振動を繰り返す。
この二つの巨大ロケットの中で撹拌されながら、コカ・コーラは製造されている。
とても、怖い。なんでこんな恐ろしいものをみんなは長閑に眺めていられるんだろう。
重たげに風を切る、唸るような音もひどく不穏だ。
巨大ロケットは交互に揺られながら、段々地上に迫ってくるように見える。
早くその場を去りたいのに、背中が地面に張り付いたように動かない。逆光になって、巨大ロケットの影が大きく動くのが怖い。
携帯が鳴ったらばね仕掛けのように体が起きた。そのまま子どもを抱いて、丘の上に走る。その途端に二つのロケットは箍が外れてスローモーションで落ちてくる。ジャンボジェットが墜落するみたいだ。
滝のようにコーラが流れ落ちてくる。迫り来る巨大なロケットの影に恐怖する。ひたすらに走る。
いつの間にか足元は踝までコーラの海になり、全身ずぶぬれになって、子どもを抱きしめたまま立ちすくんでいる。
右手に握り締めた携帯は溶けていたので、振り払って捨てた。
透明なセピア色の波の下で、待受画面の時計が白く点滅している。