昨日の夢「sprinkler」
深夜、車に乗っている。窓の外は透けるような青と黄色と深い緑のグラデーション。あたりは遥々とした平野で、地肌がむき出しの褐色と砂色の大地だ。時たま薄っぺらい影のような木がぽつんぽつんと生えている。煙色の闇が手の形をして地平線に伸びている。遥か遠くに細く煙のたなびくテントのようなものも見える。
空は満天の星空で、気持ちが悪いほどにざらざらと光っている。月はない。
ひたすらに車を走らせていると、同乗者が突然現れた。バックシートから声がする。
「もうすぐ校庭だから降りよう」
声の主は××だ。
車が止まると、いつのまにか大きな水溜りの上に立っている。あたりは相変わらずだだっ広い荒野で、空はプラネタリウムの天井のように清潔な配置で星が犇めき合っている。校舎なんてないし、どこが校庭なんだ。
足元は薄い硝子のような浅い水溜り。遠くのほうまで鏡のように星の光と夜の黒を反射している。
るるるるん、と音がして、足元で水が回りだす。あっという間に何百ものスプリンクラーが私たちを取り囲む。
「スプリンクラーが回る場所はすなわち校庭だ」と言うようなことを××が飛沫の中で言っているが、滝のようなスプリンクラーの中で私は溺れそうになっていてそれどころじゃない。
そのうちがらんがらんと音がして、あっぷあっぷとスプリンクラーの中を泳ぎながら上を見上げれば途轍もなく大きなオリオン座が、箍が外れた如くに落ちてくる。