昨日の夢 「忘れない名前」
道端でJ々とばったり会う。
「ひっさしぶりだねー」「元気?」「元気。そっちは?」「元気」
何年前に会ったぶりだろう。天気の良い昼下がりのどこかの道。
「最近名前を忘れちゃうんだよね」とJ々が言う。
「え、やばいじゃん。名前全部忘れたら消されちゃうじゃん」
「あーでも薄荷ちゃんのは覚えてる。あと××と○○」
「ギリだね。全部忘れちゃったら捕まって終わりなんだから気をつけてよ」
どうやら人の名前を全部忘れると死刑な世界らしい。物騒な。
「うーん、でもあなたの名前は忘れない気がするからなー」
二人で煙草に火を点ける。
「そうだねえ。私もJ々の名前は忘れないような気がするよ」
「だよなあ」
目が覚めて、J々はもう私のことを忘れてるんじゃないかな、と思った。彼はめまぐるしくインプットだらけの世界にいるだろうし、いらないものはアウトプットするしかない。
そういえば君の予言どおり男の子を産んだよ、と報告するのを忘れた。
J々は私を「薄荷ちゃん」と呼び、時々「あなた」と呼びかけてくる人だ。