風景喫茶

備忘録(風景喫茶より)

昨日の夢  In Space, No One Can Hear You Scream.

硝子のように透き通った異星人といつものバーでジンを飲んでいる。透明な身体は電球の灯りで輪郭だけが薄青く浮き上がって見える。ピアノの音と煙草のけむり。

バーテンの顔は暗くて見えない。

「きみの星にはなにがあるの」

「空中に固定された虹と、(思い出せない)それから光の中に沈まない夜」

向かい合ってジンを飲む。すいすいと飲み干して、その透明な身体の中を更に透明な液体が流れ落ちていくのが見える。

「透明な身体は綺麗だね」

「煙草を吸うとほら、濁るんだ」

異星人が煙草をふかすと、シャボン玉に煙草のけむりを入れたみたいだ。

「誰も僕たちに気がつかないから、僕たちは死んでいるも同然だね」

そう言って、エイリアンは泣く。透明な涙が透明な頬をつたう。

そんなことはない、現に私はあなたにきちんと気がついているじゃないか、と手を伸ばそうとして、自分の手が彼と同じく透き通って薄青く光っていることに気がつく。

ああ、私たちは同じ船にのってきたのだった、と思い出す。